読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「勉強しなさい」と言わなくても勉強するようになる 10のコーチングテクニックと実践

子供が自ら勉強するようになる、コーチングの極意。学習塾の経営コンサルタントが教えます。

4.動機づけ

「モチベーション」です。

よく、スポーツの監督や指導者と言われる立場の人を指して、「モチベーター」ともいいます。つまり動機づけをする人、ということです。

勉強の動機づけの前に、わかりやすくイメージできるようにスポーツの世界で見てみましょう。日本のスポーツ界はまだまだ根性、異常な練習量、感動物語というのを求めてしまうので、あまり参考になりません。現実、指導者としての訓練もせずに引退した有名選手がすぐに監督になったりします。高校野球などでも、泥にまみれて練習しましたというような感動物語がもてはやされます。そういうのも大事です。勉強でもスポーツでも最後は根性ですから。ここでは少し見方を変えて、海外のスポーツから学んでみましょう。

あるサッカーチームに、スペシャルワンというぐらいもてはやされた監督がやってきました。なぜスペシャルワン、特別な唯一無二の人という意味ですが、と呼ばれるのか。それは、以前にもそのチームの監督をやっていて、優勝に導いている監督だからです。その後もあらゆるチームで優勝を経験しました。監督としてこれ以上ない人材です。その監督が戻ってくるということでファンは歓喜しました。

しかし、もちろん選手は当時のままではありません。もし私なら、パフォーマンスを見せるのは選手なので、まずは選手との人間関係を築くところから始めますが、監督が注目されてちやほやされると、うまくいきませんでした。監督が独裁者のように権力をもってしまうと、選手との対話がなくなってしまい、関係が悪くなり、選手のパフォーマンスは下がり、試合でも負けが込むようになり、試合後のインタビューで監督は選手批判を始めてしまいました。選手の気持ちとしてはどうでしょう。自分の悪口を監督言っている姿をテレビで見るのです。ネット上にニュースとして流れるのです。いい気分はしません。そうするとパフォーマンスは下がります。監督のパフォーマンスは上がり、次から次に選手の批判を始めました。最後にはチームの成績は下がり、任期中に解任されました。

サッカー界でモチベーターという言葉を流行らせたと言っても過言ではないぐらいの実績のある監督がどうしてここまでになってしまうのか。

新しいシーズンから監督が代わり、また優勝するチームに生まれかわりました。今度は選手はあまり代わっていません。選手はそのままで監督だけが代わった状態です。チームの戦力は監督ひとりで大きく変わったことになります。

 

さぁ、これを勉強という観点で、自分とお子様の関係に当てはめてみてください。もちろん、親が監督、子供が選手です。

まず、監督の失敗は、最初の段階で選手と対話しなかったこと、自分が偉いと意識してしまい独裁者のようになってしまったこと、テレビで選手批判をしてしまったことです。それを親の立場に当てはめてみましょう。お子様と会話をしていますか。将来の夢、好きな教科、なぜ好きなのか、一日勉強にどれぐらい時間を割いているか、好きな学校の先生、特技、学校で友達に何と呼ばれているか、仲の良い友人、仲の悪い友人、好きな異性、学校の教室の中での立ち位置、などなど把握できるぐらい会話していますか。なんでも、ああしなさい、こうしなさいと命令口調になっていませんか。なんでこれができないの、なんでこうしないのと怒っていませんか。他のお母さまや学校の先生に自分の子供のことを悪く言っていませんか。こういうことです。

 

●会話について

家で、夕食時など会話があると思います。現代は仕事をしながらなので、会話の時間は限られると言われていますが、会話のない日はないはずです。そのときにお子様は今日の学校での様子や友達のことなどいろいろ話してくれることがあります。その時に、親としては気になることがいろいろあると思います。内容的なことは各家庭の教育方針でもあるので、ここでは、内容ではなく話し方など表面的なものです。よく、「主語を言いなさい」とか「それがどうしたの」とかという言葉を言っていませんか。子どもは話が下手なものです。うまく通じなくてイライラすることもあるでしょう。そんなときに出てしまう言葉です。しかし、子供の立場としては、前者を言われると、怒られている感じがして、後者だと関心をもたれていない、バカにされてると感じてしまいます。

コーチングで大事なのは、相手の中にすでにあるもっとも有効な答えを質問によって引き出すことです。答えをこちらが先に教えてしまってはいけないのです。

質問についても、オープンクエスチョンというものとクローズドクエスチョンという2種類があります。クローズドクエスチョンというのは「はい、いいえ」で答えられる質問です。オープンクエスチョンはそれ以外です。私が重視するのはオープンクエスチョンです。

「今日、公園で遊んで楽しかったよ。」「主語を言いなさい。」ではないのです。

「今日、すごいポケモンをゲットしたよ。」「ふーん、それがどうしたの。」でもないのです。

「今日、公園で遊んで楽しかったよ。」「よかったね。誰と?」「同じクラスのあやちゃんと。」「まさか、あんたあやちゃんのこと好きなんじゃないの?」「うん。」

おしい。オープンクエスチョンは5W1Hです。だから、「誰と?」という質問はよかったのですが、「好きなんじゃないの?」という質問は失敗です。

「今日、公園で遊んで楽しかったよ。」「よかったね。誰と?」「同じクラスのあやちゃんと。」「あやちゃんて、かわいい子だよね。お母さんはあやちゃん好きだな。あんたはどう思ってるの?」「えー、好きだよ。」「じゃあ、好きな子と遊べて楽しかったね。公園でどんなことしたの?」「うーんと、あのね、あのね、ブランコ乗ったり、滑り台ですべったりしたよ。」「そっかー。ケガしないようにね。ゲームも持って行ったけど、何のゲームしたの?」「あー、あれさあれ、ポケモン。」「あやちゃんもポケモンやるんだね。一緒にやったらいいことあるんでしょ?」「そう、今日はね、あのね、すごいポケモンをゲットしたよ。」「何ていうポケモン?」「ピカチュウ。」「ピカチュウかー。どうすごいの?」

という質問ができれば、会話がはずみます。なぜなら、頭ごなしでない、5W1Hの質問をしているからです。オープンクエスチョンはやってみると意外と難しいです。日々の会話の中で実践するしかありません。頭ごなしでない以上、親は独裁者にはなりません。悪いことをしたときだけガツンと怒ればいいのです。普段はひたすら質問です。悪いことをしたときも、何がどうして悪いのかをわからせるためにもオープンクエスチョンは使えます。それは別の機会に説明しましょう。

 

●命令口調について

勉強を見ていると、「なんでこれができないの」「なんでこれがわからないの。」という言葉を言ってしまったという親御さんは多いのではないでしょうか。たしかにオープンクエスチョンです。でも、現実は責めているので、ものすごく狭い質問になってしまっています。やさしい口調でも結局は同じことです。子どもの理解が悪いと親は怒りながらその問題の解き方をさらに説明し、答えまで出して、「ほら、こんなに簡単なのに、なんでわからないの。」と繰り返してしまいます。子供からしたら、怒られたけど、とにかく怒られてるという意識が前面に来てしまい、説明を理解しようという努力はできません、怒られてる、どうしようどうしようと思っている間に、わからなかった問題の答えが出ているので、とりあえずこの答えを問題集に書いておこうとなるのです。親は「じゃあ、さっきのやり方で次の問題を解いてごらんなさい。」となりますが、子供はできないままです。イライラはさらに大きくなり、悪循環ですね。

ここでよくない部分は、子供にイライラ、怒りが伝わっていること、答えを出してしまったことです。

イライラや怒りを伝えないためには、言葉を変えなければなりません。「お母さんの説明じゃわかんない。」「じゃあ、もう一回説明するから、わからないところで止めてね。」とか、「この問題難しすぎてわからない。」「どこがわからないか説明できる?」「できない。どこがわからないかもわからないんだよ。」「じゃあ、問題を最初から口に出して読んでみて。」「ごにょごにょ。」「よし、わからないところ探しをするよ。最初のこの部分はOK?」

のように、何がわからないかをはっきりさせる質問をしていきましょう。

お子様が、なんとか自分でやってみようとなったときは、自分で答えまで出させてください。合っていれば、「もう一人で大丈夫だね。」となるし、間違っていれば「考え方はできてるはずだから解き直したらできるよ。もう一回やってみよう。」と声かけをすればいいのです。

 

●他のお母さんや先生に悪く言っていないか

サッカーの監督のテレビの例でも分かるように、自分の悪口を人伝えに聞くというのは、直接聞くよりもダメージの大きいものです。もしかした、お子様は学校で友達に、「お前、家でまったく勉強しないんだってな。うちのお母さんが言ってたぞ。」とか、先生から、「君は家ではテレビとゲームばかりだとお母さんが言っていたよ。それだから今日のテストでひどい点数をとったんじゃないのか。」などと言われているかもしれません。子供は本当に嫌なことは親に報告しませんからね。そして、学校の先生だって人間です。

 

今回は長くなってしまいました。次は補足の意味も含めて、やる気を維持するための言葉遣いについて見ていきましょう。

 

 

コーチングは心理学を応用するとは以前に書きましたが、直接関係なさそうでも、これはテクニックが満載です。営業やサービス業の人には仕事術としてお勧めですし、そうでなくても、メンタリストやコーチングってこういう観点で見てるんだ、という発見があるはずです。

 

一瞬でYESを引き出す 心理戦略。

一瞬でYESを引き出す 心理戦略。