3.やる気スイッチなどない
ある塾が流行らせた言葉ですね。わが塾はお子さんのやる気スイッチを入れます、という広告文句で、覚えやすくてとてもいい広告効果があったのではないでしょうか。それ以降、多くの保護者の方との面談でも、うちの子のやる気スイッチはどこなんでしょう、先生が入れてくださいよ、というような話はよく聞かされました。そのたびに、やる気スイッチなんかあったら、面白くないじゃないかと思いながら聞いていました。人間は人間だから面白いのです。さらに言うと子供は子供だから面白いのです。スイッチでやるやらないが決まるならそれはロボットです。うちの子のやる気スイッチはどこでしょう、なんて言っているお母さんがいたら、このお母さんはわが子をロボットと思っているのかなと思ってしまいます。
わが子をロボットにしたくなければ、やる気スイッチなどないということを理解してください。やる気はスイッチのようにコロコロと出たり出なかったりするものではなく、一度やる気のきっかけができたら、あとは維持していくのです。お子様が塾に通うような年齢のお父さんお母さんは、会社の中では部下を何人か抱える中間管理職に就いているのではないかなと思います。そうでない方もいるでしょうが、部下のやる気を引き出すには?という本を読んだり研修を受けたりする機会があるかもしれません。それは子供だって同じことです。スポーツのコーチも同じです。モチベーターという言葉がありますが、モチベーションを与え続ける存在です。モチベーションは日本語では「やる気」と訳されて使用されていますが、本来は「動機づけ」という意味です。勉強する動機を与え、それを維持していくのがモチベーターです。ここではコーチング技術を使って、みなさんがモチベーターになれることが狙いです。
ということで、わが子に「勉強しなさい」と言わなくてもできる子に育てていくためには、まずは「動機づけ」が必要ということです。そしてその後に「やる気の維持」をしていくのです。
しかし、それではいつまでも親の手のかかる子です。それは目的ではありません。あくまで目的は子供が自らやるようになるということなので、いつまでも手はかけられません。つまり、最終目的は、動機づけもやる気の維持も、子供本人が自分の力でやるということです。しかし、子供は楽な方に行ったり間違った方向に進むこともあるので、軌道修正で親が声かけをするということになるのです。その声かけがコーチングです。
次からは、動機づけをする→やる気を維持させる→親の手を離す
という手法について考えていきましょう。
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